セイコーエプソン株式会社

デジタル顧客体験の向上を目指す セイコーエプソンがPtengine活用で挑むDX推進とは

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#BtoB
#A/Bテスト
#アクセス解析

宮澤 容子氏 髙橋 和章氏

DX推進本部

エプソンのようにPtengineでビジネスを成長させよう

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インタビューのポイント!
① 顧客体験向上の要はWebサイトの改善 。A/Bテストのデータが事業部門との共通言語に
② 採用、半導体、コーポレート、すべてのサイト担当者が 「テスト」への理解と垣根なき連携で改善がスムーズに
③ 勉強会や新人研修で Ptengineのアクセス解析。地道な社内浸透で全社のWebサイト改善の基盤づくりを推進

今回インタビューさせていただいたのは、セイコーエプソン株式会社 DX推進本部の宮澤さんと高橋さんです。

宮澤さんは、ご入社以降プロジェクターの開発をご担当後、2008年からは一貫してWeb制作関連の業務に従事。最近はアクセス解析に力を入れ、昨年Webアナリスト資格も取得されました。

高橋さんは、2017年にデザイナーとして新卒入社され、製品のデザインをご担当。その後2022年からWeb関連業務としてツールの導入やアクセス解析に従事されています。

A/Bテストの実施が事業部門との二人三脚をよりスムーズに

Q: 現在のミッションや、Ptengineとの関連性、導入経緯などを教えてください。

宮澤さん:我々のDX推進本部のミッションは、デジタルの顧客体験を向上させることです。各事業部門にとってその最たるタッチポイントがWebサイトです。

各所と連携しながら、Webサイトの制作や改善を行っています。私たちの部門のKPIも、各事業部門が持つKPI (売上やリード獲得など)と連動しています。

時には、事業部門と制作側であるDX推進本部との間には、意見の乖離が生じることがあります。事業部門が見せたい内容と、ユーザーが見たいであろう内容が一致しないことがあり、そこに折り合いをつけることが難しいケースです。

そういった時に事業部門に対する説得材料として、A/Bテストが効果的だろうと考えるようになりました。適切なデータがあることで、事業部との議論がしやすくなります。

決め手は「同じチームで働いている」ようなサポート

高橋さん:当初はGoogle Optimizeを使ってA/Bテストを試みましたが、設定が難しく、導入に苦労しました。その最中で昨夏のサービス終了もあり、これに代わるA/Bテストができるツールを探していたところ、Ptengineを見つけました。

合計で6社ほど並行して検討を進めていたのですが、機能もさることながら、最終的な決め手はそのサポート体制でした。検討をしている時点でも質問すればすぐに返答があり、導入後も親身にサポートいただける印象を持ちました。

価格面でも納得感がありますし、ヒートマップの操作性も優れているので、事業部門のメンバーにもすぐに使いこなせるだろうと思いました。

高橋さん:Google Optimizeは、サポートがほとんどなかったため、苦戦した設定を含め、トラブルが発生した際の対応が難しかったのですが、Ptengineはその点非常に柔軟です。また、結果をすぐに可視化できるので、数値やビジュアルによって事業部門に納得してもらいやすいところも魅力です。

採用サイトでも toB商材でも、各事業部門でA/Bテストを積極実施

Q: 実際に効果のあった具体的な施策をご紹介いただけますか?

1.インターンシップのエントリープロセスの改善

最初の取り組みは、エプソンの採用サイトの改善でした。昨今の新卒採用市場では、インターンシップに参加して応募する企業を決める学生が増えていて、当社においても内定者の大半がインターンシップ参加者となっています。

そこで、採用サイトからのインターンシップへの申込数をさらに増やすことを目標とし、人事部門と連携し、採用サイトの改善に取り組みました。その際に、肌感ではなく、仮説と確かなデータ検証から施策を実行するためにA/Bテストを活用しました。

【目指す姿】
・採用サイトからのインターンシップ応募者数の増加

【課題の仮説】
・インターンシップの案内ページに、エントリーページへの明確なリンクがなく、学生がすぐに応募(エントリー)しにくい導線となっている。
・ページ名が英語表記で「Internship」となっており、直観的にインターンシップと認識しづらい

【施策と結果】
・インターンシップページ内にエントリーページへのリンクを追加
・「Internship」表記を「インターンシップ」表記に変更

これらのA/Bテストの結果、施策実施前と後で、インターンシップページからエントリーページへの遷移率が30%増加することが分かった。また、「インターンシップ」ページ自体のクリック率も倍増。

ここでおもしろかったのは、「インターンシップ」の表記による改善効果が見られたことですね。もともとは採用サイトのデザイン性を考え「Internship」と英語表記にしていたのですが、実際サイトを訪れる学生にとっては「インターンシップ」というカタカナ表記の方が直観的で分かりやすく親切だということです。

これはとても単純なことのように見えますが、A/Bテストをやってみたからこそその効果に気づくことができました。

このほかにも、インターンシップのエントリープロセスも各ポイントにおいてA/Bテストを行い、採用チームによる応募喚起施策も含め総合的な取り組みの末、応募総数が前年同期比で+25%となり、応募者増加に貢献しました。

2.半導体製品のリード獲得プロセスの改善

次に取り組んだのは、半導体製品に関連するリード獲得の改善で、資料請求ページの導線や営業活動の効率化を図りました。

これまで、他のページではリンクを目立たせる、複数設置する等のページ変更を行いましたが、効果が薄かったため、より訴求力のある施策としてWeb接客のポップアップを活用することに決めました。

ただ、ポップアップにはユーザー体験を損ねるなど逆効果となる可能性もあるため、A/Bテストを行いユーザーの反応を見て導入するべきかを検証しました。

【課題】
・半導体製品のトップページから資料請求ページへの遷移が少ない。

【施策と結果】
・トップページにポップアップを追加する場合と、従来のなしの場合でA/Bテストを実施。ポップアップは新着資料のサムネイルを見せることで資料請求ページへの遷移を訴求。その結果、トップページで、「ポップアップあり」の場合は「ポップアップなし」と比べて2倍の遷移数を確認したためポップアップを正式導入することに決定。

担当者間に壁のない体制で改善活動をブースト

Q: コーポレートサイトのような大きなサイトでも、継続的にテストできている秘訣を教えてください。

高橋さん:私たちは、ものづくりの会社であり、PDCAサイクルに近い発想での改善活動が根付いていることが大きいと思います。課題を見つけ、着実に解決していくプロセスが浸透しています。

宮澤さん:そうですね。実は、Webサイトに改善を加えることに対する抵抗があまりない環境です。事業部門のWebサイトの担当者が全般を任されていて、改善に関しては主にその担当者たちに決定権限があります。

また、A/Bテストの場合、Webサイトの本番環境への変更とは少し違い、「テストだから」「一時的だから」、と説明すれば、了承が得られることが多いんです。社内での壁を感じることはほとんどなく、柔軟に進められるのは大きな利点ですね。

新人研修にもPtengineを!目指すはデータに基づく意思決定が当たり前の環境

Q: 事業部門とご担当者間の連携が非常にスムーズなのですね。貴社内での利用浸透のための取り組みについてもぜひ詳しくお聞かせください。

宮澤さん:まずは各事業部門ごとに説明会を実施しました。各事業部門のWebサイト担当者にPtengineの機能や活用法を紹介したことで、彼らも積極的に使ってくれるようになりました。

また、今年はDX推進本部の全新入社員に対してPtengineを使ったアクセス解析の実践をレクチャーしました。自分たちとは異なった観点からの提案も出てきて興味深く、来年以降もぜひやりたいと思っています。

高橋さん:DX推進本部が担うのは、全社のWebサイト改善の基盤を作ることですので、最終的には全事業部門がデータに基づいた改善を行えるようにすることが目標です。そこで、まず自らPDCAサイクルを回し、改善を進める姿勢を大切にしています。

今後はより収益への貢献を実感できるWebサイト改善を

Q: Ptengineを活用した今後のご活動の展望を教えてください。

宮澤さん:Ptengineを活用することで、エプソンブランドのイメージ向上や、コーポレートサイトのエンゲージメント増加を目指しています。また、今分析を行っている人以外のWebサイト関係者にも、Ptengineを糸口にアクセス解析を浸透させていきたいです。

高橋さん:DX推進本部として、利益や収益につながるようなサイト改善に取り組み、事業部門への貢献をしっかりと数値で示すことが重要だと考えています。導入範囲を深めたり、広げたりすることも視野に、さらに成果を上げていきたいと考えています。