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世界で注目されているフィンテック企業、5つの成功の鍵

2025年01月08日

この記事は約5分で読めます。

はじめに

グローバル化の進展により、国際送金サービスの需要が増え続けています。移民の増加や電子商取引の普及により、かつて大企業が中心だった国際取引が中小企業にも広がり、今では先進国の中小企業の約3分の1が海外との取引を行っています。

このように、国際送金のユーザー層が大きく広がっていることがわかります。しかし、グローバルな視点で見ると、銀行を介した送金インフラは半世紀近くにわたり更新されていないのが現状です。

インフラの変化が進まない理由の一つとして、国際送金された資金がテロや詐欺などの犯罪行為に利用されるのを未然に防ぐ必要があることが挙げられます。

また、日本のサービスでは特に厳しい規制環境やイノベーションのスピードの遅さが問題視されており、新しいサービスを展開するためには、複雑な許認可プロセスを経る必要があります。

またユーザーに中には従来の銀行サービスに対する信頼感が強く、新しいデジタルサービスに対する十分な理解や認知がまだ進んでいないことなどが現状としてあげられます。

このような課題がある中、Wiseは今までにない国際送金サービスのアプローチで課題を克服し、グローバルに成功を収めたフィンテック企業の一例です。

透明性のある手数料構造、リアルタイムでの為替レートの提供により、銀行が抱えていたユーザーに対する隠れたコストや手数料の不透明さを解消しています。

またWiseは、口コミによるオーガニックな成長戦略を通じて、広告費に依存することなく急速にユーザーベースを拡大したことでも知られています。

本記事では、Wiseがどのようにしてフィンテック業界で成功を収めたのか、その成長戦略や革新的なビジネスモデルについて詳しく解説します。

1. Wiseの誕生とミッション🔑

Wise(旧TransferWise)は、2011年に二人のエストニア人がイギリスで設立した国際送金サービスです。

当時、銀行が提示する為替レートには大きなマージンが含まれており、ユーザーは知らないうち余分な費用を支払っていました。この銀行を通じた国際送金に多くの隠れた手数料や不透明な為替レートが含まれていることに強い不満を抱き、公正で効率的な送金サービスを提供するためにWiseを立ち上げました。

Wiseは、リアルタイムで正確な為替レートを提供し、手数料は事前に全て明示されるという透明性を重視したアプローチを採用。これにより、多くのユーザーから信頼を集め、従来の銀行に代わる革新的な送金手段として成長を続けています。

2. 従来の銀行との違い🏦

従来の銀行にはいくつかの問題点があり、その一つが隠れた手数料です。

銀行は、多くの場合、実際の市場レートよりも高い為替レートを提示し、その差額を手数料として得ています。この手数料はユーザーに明確に示されないため、ユーザーは知らないうちに余分なコストを支払っていることになります。

この場合、国際送金を行う際に実際にどれだけの費用がかかるのかが不透明で、ユーザーにとって不満の原因となっていました。

リアルタイムの為替レートを反映(画像引用元)

この国際送金における不透明さを解消するために、Wiseはリアルタイムの為替レートを採用しています。GoogleやReutersが提供する中間市場の為替レート(ミッドマーケットレート)をそのまま使用することで、ユーザーは上乗せのない、正確な為替レートで取引を行うことができます。

また、Wiseの手数料構造は非常に透明で、送金手続きの前にユーザーに正確な手数料額が明示されます。この手数料は小額であり、全てのコストが事前に示されるため、ユーザーは実際にかかる費用を正確に把握することができます。

今までは銀行の隠れたコストや不透明な為替レートに対して信頼を持てなかったユーザーも、Wiseによる公正で透明な国際送金のおかげでユーザーは安心してサービスを着実と利用するようになりました。

3. オーガニックな成長戦略📈

(画像引用元)

Wiseは、その成長戦略において広告費を抑え、ユーザーの口コミによる自然な広がりを活用してきました。サービス開始当初から、多額のマーケティング予算を投入せず、満足したユーザーによる口コミや紹介に依存する戦略を採用しました。この戦略は、Wiseが透明性と公平性を徹底していることが評価され、ユーザーが自ら友人や家族にサービスを推薦する流れを生み出しました。

具体的には、Wiseの透明な手数料構造とリアルタイムの為替レートが多くのユーザーに支持され、銀行に対する不満を解消する選択肢として口コミが広がりました。このような口コミベースの成長により、ユーザーは自然に増加し、Wiseは広告費に依存せず、ユーザーベースを拡大することに成功しました。

さらに、Wiseは金融業界における長年のボトルネックを排除するサービスでロイヤルティの高いユーザーを生み出し、彼らが積極的にサービスを宣伝することで、持続的な成長を実現しています。

ユーザーは単にサービスを利用するだけでなく、その利便性やコスト削減効果を他者に伝え、結果的にWiseのマーケティング活動を支援しています。このようなユーザー主導の成長により、Wiseは低コストで急速に市場に浸透し続けています。

4. 迅速な送金💰

Wiseは、世界各国で現地通貨を保有しており、ユーザーが送金を依頼した際に、異なる国の送金を自動的にマッチングさせる仕組みを導入しています。

この方法により、実際にお金が国境を越えて物理的に移動するのではなく、国内での資金移動によって取引が完結します。これが結果として送金プロセスを大幅に短縮し、ユーザーはほぼリアルタイムでの送金を体験できるようになっています。

左:従来の銀行による国際送金システム|右:Wise による国際送金システム(画像引用元)

この高速化された送金プロセスは、特に急ぎの取引やビジネスシーンで非常に役立ち、多くのユーザーがWiseを選ぶ理由の一つとなっています。

迅速かつ効率的な送金を実現することで、従来の銀行の送金に対するユーザーの不満を解消し、新たなスタンダードを築いています。

5. フェアでお得な代替手段🏧

(画像引用元)

さらに、Wiseの低コスト構造は、個人だけでなく多くの企業からも選ばれる理由の一つです。

Wiseは、日本でも複数の企業が利用しており、特にGMOあおぞらネット銀行との提携が話題になりました。2023年にGMOあおぞらネット銀行は、Wiseの国際送金サービス「Wise Platform」を導入し、法人ユーザーに対して迅速で低コストの送金を提供しています。

このような安価な手数料で短時間での国際送金が可能になたことは国際的なビジネスを行う企業にとって大きなメリットを生み出しています。

また、日本の企業がWiseの法人アカウントを使うと、ビジネスデビットカードを通じて複数の通貨を同時に管理することが容易にできます。そのため、取引先への支払いや従業員への給与の支払いも低コストで効率的に行うことができます。

このような低コスト構造+透明な送金プロセスは個人だけではなく多くの企業からも選ばれる理由の一つです。

終わりに

Wiseは、公正な国際送金サービスとして、従来の銀行に対する信頼できる代替手段を提供し、その透明性と低コスト、迅速な送金によって世界中の多くのユーザーから支持を集めてきました。

ユーザーのニーズに応え、隠れた手数料や不透明な為替レートの問題を解消したことで、個人や法人問わず、多くのユーザーに選ばれています。また、Wiseは口コミによるオーガニックな成長戦略を成功させ、広告費を抑えながらも急成長を遂げました。

日本においても、GMOあおぞらネット銀行との提携や法人アカウントの提供を通じて、さらに多くの企業や個人がWiseのメリットを享受しています。今後もWiseは、グローバルな金融サービスを通じて、世界中での取引をよりスムーズかつ公平に進めるための重要な役割を担い続けるでしょう。

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