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Webパーソナライズ大全:顧客体験を最大化する応用戦略

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Takashi Ando

2024年12月27日

この記事は約7分で読めます。

はじめに

近年、Webマーケティングにおいて「パーソナライズ」が重要なキーワードとして注目を集めています。

訪問者一人ひとりに合わせた最適な体験を提供することで、顧客満足度を向上させるだけでなく、売上やエンゲージメントにも直接的な影響を与えるからです。

本記事では、Webパーソナライズの基本概念から具体的な実践手法、誤解を解くポイント、そして成功事例までを詳しく解説します。これを読み終える頃には、パーソナライズがあなたのビジネスにどのような利益をもたらすのか、明確に理解できるでしょう。

第1章:Webパーソナライズの基本概念

パーソナライズの重要性

パーソナライズは、顧客一人ひとりのニーズに応じてコンテンツやサービスを最適化するプロセスです。その結果として期待できる効果には、以下のようなものがあります:

  • 顧客満足度の向上:訪問者が自分に合った情報を見つけやすくなる。
  • 離脱率の低下:関心を引くコンテンツ提供で滞在時間を延ばす。
  • 売上の増加:顧客体験が良好だと購入率が上がる。

データ駆動型アプローチの必要性

パーソナライズを成功させるためにはデータが鍵となります。ただし、必ずしも会員情報が必要なわけではありません。Webトラフィックデータ、流入元情報、ユーザーの行動履歴を組み合わせることで、効果的なパーソナライズが可能です。

第2章:パーソナライズに関するよくある誤解

誤解1:パーソナライズには会員データが必須

よくある誤解
多くの企業が、パーソナライズには顧客の会員登録情報や個人データが必要だと考えています。

真実
実際には、以下のようなデータを活用するだけで効果的なパーソナライズが可能です:

  • 流入元データ:SNS広告、検索エンジン、メールキャンペーンなど、どのチャネルから訪問しているか。
  • 行動データ:ページ滞在時間、クリック率、スクロールの深さなど、サイト上でのユーザー行動。
  • デバイス情報:スマートフォンやPCなどの利用環境に基づいた最適化。

具体例
新規訪問者には「今だけの特別オファー」を提示し、リピーターには過去の購入履歴を活用したおすすめ商品を表示する仕組みを実現できます。

誤解2:母数が減るから効果も減少する

よくある誤解
「部分的なお客様へのコミュニケーションになるので、施策のインパクトが出しにくい」という考え方。

真実
セグメントごとにシンプルなルールを設定するだけで、十分に高い効果を得ることが可能です。そして、実は全母数に基づいた判断だけでは危険なケースが多く存在します。

具体例
以前のブログ記事「ABテスト大全」で紹介した「平均体験の罠の内容」を以下に記載します。

平均体験の罠
  • 問題点: ABテスト結果を母集団全体の平均で評価していたため、再訪問者と新規訪問者の違いを見落としていました

実際に調べてみると、CTAの安心感は再訪問者に対しては伝わっていましたが、新規で訪問される方に対しては高い勝率を誇るわけではないとわかりました。

ここから導き出せるのは、全体の65%の勝率は、新規訪問の方々に対する理解不足が原因であるとわかります。したがって、新規の方々は、安心感以外の部分を重視している可能性が高いと推測できます。

このように、実際にはABテストは、パーソナライズマーケティングの入り口になることができるのです。

全体のABテストをした後に、そのテストが新規向けのお客様に効果があり、再訪問者に効果がそこまで大きくないのであれば再訪問者向けには別のご案内をしてさらに最適化できるようになります。

誤解3:複雑なシステムが必要

よくある誤解
パーソナライズを行うには高度なシステムや専門知識が必要で、特にリソースが限定される中小企業にはハードルが高いという認識。

真実
実際には、無料または低コストで利用できるツールを活用することで、誰でもパーソナライズを始められます。

例えば、Ptengineはパーソナライズの施策を始めるには良い選択肢です。

下記のように、対象ユーザーを「行動」や「流入」で絞ったテストや施策の配信が簡単にできるようになっています。

Ptengineのパーソナライズ条件画面

第3章:パーソナライズを成功させるためのステップ

パーソナライズを成功させるためには、顧客理解を深め、それに基づいて最適な体験を設計するプロセスが必要です。本章では、具体的なステップを以下のように解説します。

ステップ1:顧客セグメントの明確化

顧客セグメントを明確にすることは、効果的なパーソナライズの第一歩です。単なる属性情報(年齢や性別など)ではなく、顧客が抱える課題や状況(「不」の状態)に基づいて分類することが重要です。

Who-What Fit理論」を活用した顧客理解

Who-What Fit理論とは、Ptmindが提唱する独自の顧客理解のためのフレームワークです。

  • Who(顧客):誰が利用しているのかだけでなく、どのような課題を抱えているかを特定します。
  • What(価値):その課題を解決するために、どのような価値を提供できるかを定義します。

この両者の組み合わせを検証しながら、誰に何を提供するのかの精度を上げていくのがWho-What Fit理論の基本的な考え方です。本理論に関して、詳細については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

具体例:子供靴ECのWho/Whatのまとめ方

下記のような形で一度自分たちでお客様像に対する認識をそろえ、それをチーム全員でインプットしておくことが推奨です。

WhoWhatのペルソナまとめ

Who/What以外で考慮すると良い、顧客セグメントを構成する上での定性的な整理要素

Trigger:きっかけ
POD(Point of Difference):商品の差別化要素
RTB(Reason to Believe):選ばれる信頼の理由

この方法を活用することで、単なる属性情報だけでは掴めない顧客ニーズを把握し、よりパーソナライズされたコンテンツ提供が可能にする材料を作ることができます。

具体例2:顧客分類のセグメント例

下記は、マーケティングで有名な西口一希さんのフレームワークである9セグメントです。

先ほどのペルソナWhoとWhatの例が顧客と商品とコミュニケーションの設計図だとすると、こちらはより顧客全体を分類してどのお客様層から改善をしていくべきかという指針を作っていく形になります。

顧客分類のセグメント例 (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000242.000002235.htmlより)

ステップ2:ランディングページ(LP)のABテスト

パーソナライズの効果を最大化するためには、ランディングページなどのABテストを活用することが最適です。

いきなりパーソナライズをする前に、先ほどのステップで作成した顧客像をもとにして作成したページで、WhoとWhatが噛み合っているかをテストしてから必要なことを洗い出しましょう。

ABテストの基本手順

ABテストは複数の商品に対するコンセプト比較などで有効です。一般的にはまずランディングページ等の対象ページに訪れるお客様全員に対して下のような形で設定と結果の分析を行なっていきます。

  1. テスト対象の設定
    • バナー画像、テキスト、CTAボタンの内容を変更。
    • ページ全体のレイアウトや配色をテスト。
  2. 測定指標の明確化
    • CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)など、目標に応じたKPIを設定。
  3. 結果の分析
    • ユーザーの行動データを分析し、どのバージョンが効果的だったかを確認。

実際のテストの評価の仕方:ヒートマップの活用

ランディングページなど対象ページ全体の評価にはヒートマップが有効です。
ヒートマップを使うとページのどの時点からお客様が関心を失っているか、などを正確に把握できるようになります。

ヒートマップの分析を詳しく知りたい方はぜひ「ヒートマップ完全ガイド」の記事もご覧ください。


ステップ3:ABテストからパーソナライズ判定

ABテストの結果こそが、パーソナライズの必要性を判断できる要素を含んだ重要なものです。

サイト全体をテストをしたとしても、実際にはセグメントごとに、結果の傾向が違うケースがあります。

ABテストの結果の内訳を見てパーソナライズ判定をする

  • ABテストの内訳を訪問や流入元ごとに観察する
  • 乖離が大きいセグメントがある場合は、そのセグメントをパーソナライズ対象として配信を限定してみる

PtengineでABテストをした場合は、特に簡単に上記を実現することができます。

また、下図の通り、あるABテストをすると、流入元ごとや訪問の種類に応じて結果を見ていくことができます。

この場合は、流入元がFacebookとLINEでは、どちらのパターンもLINEのほうが圧倒的に高いです。

そのため、LINEの流入に合わせたLPのパーソナライズ施策をすることで、より成果を最大化する可能性が高いことを示しています。

流入元ごとのABテストの結果画像

ステップ4:セグメント別ヒートマップを活用

セグメント別のABテストを見て、LINEからの流入にはパーソナライズが必要だとわかりました。ではコンテンツはどのように改善すればいいでしょうか?

そこで使うのが、セグメント別ヒートマップです。

セグメント別ヒートマップ(facebookとLINE)

セグメント別ヒートマップを活用することで、ある特定の流入の方達は何を求めているかを推定していくことが可能です。上の例で見た場合、Facebookと違いLINEからのお客様はポイントなどのお得コンテンツを重視しているということがわかります。

セグメント別ヒートマップを活用することで、特定の流入経路ごとにお客様が何を求めているのかを推定できます。上の例で見た場合、Facebookと違い、LINEからのお客様はポイントなどのお得コンテンツを重視しているということがわかります。

この結果から。LINE流入からのパーソナライズ施策ではお得をより強調したり、訴求した内容の案内をした方が良さそうだ、と企画をすることができます。

おわりに

Webパーソナライズは単なるトレンドではなく、顧客体験を高め、ビジネス成果を上げるための強力な戦略です。本記事で紹介した手法やツールを活用し、貴社のWebサイトに適したパーソナライズ戦略を始めてみてください。

Ptengineでパーソナライズを始めましょう

パーソナライズは難しいものではなく、お客様のシチュエーションに合わせた提案を行うという、顧客理解の原点です。

Ptengineでは「行動パーソナライズ」「訪問属性パーソナライズ」「会員情報パーソナライズ」の3つの軸でお客様のおもてなしの施策を打ち出すことが可能です。

特にABテストにおいては、いきなりパーソナライズしなくても内訳を見てからどのセグメントにパーソナライズをかけていくかを判別できる点が優れているプラットフォームです。

ご興味をお持ちの方は、ぜひ製品サイトよりご覧ください。

Ptengine製品サイト

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