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ECのCVRが上がらない?5つの改善ポイントを徹底チェック【後編】

2025年05月30日

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前編ではECサイトにおけるCVR(コンバージョン率)低下の原因としてよく見られる10の原因のうち、前半の5つとその解決策をご紹介しました。

続く後編では、残りの5つの原因とその対策について解説します。

原因⑥:お客様の目線をうまく誘導できていない

どれだけ内容が良くても、ウェブサイトのレイアウトが整理されていないと、お客様は知りたい情報にたどり着けずページから離脱してしまいます。特に、伝えたい情報が目立たなかったり、またはお客様が知りたい情報の優先順位が整理されていなかったりすると、ECサイトのCVR(コンバージョン率)に悪影響を及ぼします。

潜在的なリスク:

  • CTA(行動喚起)や商品の強み、価格などの重要な要素が目立たず、訴求力が弱くなるリスク
  • 情報が多すぎて、お客様が途中でページから離脱してしまうリスク
  • 本当に伝えたいことが見えづらく、スルーされてしまうリスク

改善策:

  • 見出しやサブタイトルを太字にしたり、色やサイズを変えたりして、お客様の視線を自然に誘導すること
  • CTAをページ内で最も目立つように配置すること
  • 適度な余白を設け、情報のまとまりをわかりやすくすること
  • お客様が上から下へスムーズに読めるように、ページ構成を設計すること
CTAの色を変えたことでより目立つように

補足アドバイス:

すべての要素を目立たせようとすると、かえって何も伝わらなくなってしまいます。まずは「何を一番伝えたいか」をはっきりさせ、それに合わせて視線の流れやレイアウトを工夫することが大切です。 お客様がスムーズに内容を理解できれば、自然と購入や問い合わせといった行動につながりやすくなるでしょう。

原因⑦:価値提案があいまいで十分に伝わっていない

お客様が「なぜこのブランドを選ぶべきか」をすぐに理解できないと、その時点でサイトから離脱してしまう可能性があります。あいまいな価値提案は、ECにおけるCVR低下の見えにくい要因の一つです。

潜在的なリスク:

  • 他社商品との違いや優位性が伝わらず、比較の段階でスルーされてしまうリスク
  • 「高品質・低価格」といったありふれた表現で印象に残らないリスク
  • 商品そのものの魅力だけに頼り、ブランドへの信頼が生まれないリスク

改善策:

  • 「なぜ私たちを選ぶのか」という問いに明確に答えること
  • ファーストビューや商品ページなどの重要な流入入口で価値提案をはっきり示すこと
  • 「翌日配送」「エコな梱包」「ここでしか買えない限定商品」など、実際の強みにフォーカスすること
  • シンプルで力強い言葉を使い、一目でで伝わる表現にすること

改善事例:

画像引用元:「VIVAIA」

アメリカ発のレディースシューズブランド「VIVAIA」が2025年4月時点で公開していたホームページでは、ファーストビューで強力な価値提案をシンプルに打ち出しています。具体的には、メインコピーとして「グリーンチョイスで青い未来を。」を掲げ、地球にやさしいサステナブルな素材の使用といった、VIVAIAを選ぶ理由を明確に伝えています。

補足アドバイス:

「5秒ルール」を意識しましょう。誰かにトップページを5秒だけ見せて、「何を売っているか」「どんな価値があるか」が伝わらない場合は、表現の見直しが必要です。競争の激しい市場では、明確な価値提案こそが信頼とコンバージョンの鍵となります。

原因⑧: 「今すぐ買う理由」が伝わっていない

2024年のECサイトにおけるカゴ落ち率は平均で約63.3%とされており、多くのお客様が「今すぐ買いたい」と感じなければ、そのまま離脱してしまうことがわかります。このような気づきにくい要因が知らないうちにEC売上に悪影響を与えることもしばしばあります。

潜在的なリスク:

  • 在庫数や販売期限などの情報が示されていないと、購入意欲が下がってしまうリスク
  • 一度「後で買う」と考えたお客様はそのまま戻ってこないリスク
  • 衝動買いを引き起こす大きなチャンスを逃してしまうリスク

改善策:

  • 「あと3時間で終了」などのカウントダウンタイマーを表示して、時間的な制限を伝えること
  • 「残り2点」「3人がこの商品を閲覧中」などのリアルタイム在庫表示で希少性を伝えること
  • 「在庫残りわずか」といった強い行動喚起を添えることでCVRを最大2.5倍までに高められること
  • 虚偽の在庫表示があると、注文キャンセル率が急増するので、誠実な情報提供を徹底すること

改善事例:

画像引用元:「Yahoo!トラベル」

日本のホテル予約サイト「Yahoo!トラベル」では、宿泊プラン欄のすぐ下に赤字で「残りあと〇室」と表示し、残室の少なさを直感的に伝えています。このシンプルな表現が「今すぐ予約しないと売り切れてしまうかもしれない」という緊迫感を生み出し、お客様の予約を後押しします。

補足アドバイス:

お客様の属性や行動履歴に合わせて、「あなたがチェックしていたサイズ38は残り1足です」といったパーソナライズされた通知を出すことも効果的です。適度なプレッシャーは、コンバージョンを大きく後押ししてくれます。

原因⑨:カスタマーサポート窓口が見つけにくい

多くの離脱行動はカスタマーサポートの窓口が見つけにくいことに起因しています。お客様が購入を迷っているとき、クリック操作が多いとそれだけで離脱のリスクが高まります。

潜在的なリスク:

  • 問い合わせをする際に最も重視されるのは「対応スピード」のため、問い合わせへの返信が遅れるとお客様の店舗への信頼度が低下するリスク
  • カスタマーサポートの窓口が設けられていないと、お客様の店舗への信頼感が低下するリスク
  • サイズや返品ポリシーへの不安により、購入をためらうリスク

改善策:

  • 商品ページ・カート・チェックアウトページにスマートチャット機能を常設すること
  • フローティングチャットと購入・アフターサポートの窓口を設け、ヘルプ体制を構築すること
  • よくある質問に対する即時回答できる仕組みを用意すること(Q&Aや、物流・納期・料金自動計算ツールなど)
  • 「3分以内に返信」など、サポート対応の基準を明示すること

改善事例:

画像引用元:「VIVAIA」

アメリカ発のレディースシューズブランド「VIVAIA」の自社サイトでは、画面右下に常時チャットボットのアイコンが表示されています。お客様がサイトを見ていて気になることがあれば、ワンクリックでいつでも質問でき、その場で回答が得られる仕組みになっています。これによって不安や迷いを解消できるため、お客様は安心して購入を進められるでしょう。

原因⑩:顧客の行動データを活用できてない

データドリブンの意識が薄く、顧客の行動データを把握せずにECを運営するのはまるで目隠し運転のようなもの実際、コンバージョンの多くのボトルネックは顧客の行動データの中に潜んでいます。

潜在的なリスク:

  • 離脱がどのページで発生しているかを特定できないリスク
  • 直感のみに基づいたページ改善により、機会損失につながるリスク
  • なぜ売れないかの本当の原因を見逃してしまうリスク

改善策:

  • ヒートマップ・スクロール深度・クリック軌跡を組み合わせた「行動分析マトリクス」を導入すること
  • 「閲覧 → カート追加 → 購入」までの各段階を可視化するコンバージョンファネルのモニタリング体制を構築すること
  • 五種類までのランディングページを同時に検証すること
  • PVやROIなどの重要KPIに注目すること

改善事例:

画像引用元:「Ptengine」

PtengineはWebサイト上のお客様の行動を可視化・分析するツールです。たとえば、訪問するお客様がどこをクリック・タップしたかを把握し、期待するCTAのクリック率が低い場合には、ボタンの位置やデザイン、文言を見直すことが可能です。こうしたデータドリブンな最適化により、機会損失を抑えつつ、コンバージョン率の向上が期待できます。

まとめ

オンラインショップで「なかなか売上につながらない」と感じたら、まずはこの10個のポイントを見直してみましょう。

  • ページ読み込みが3秒を超える → 全デバイス対応の高速化ソリューションを導入する
  • 商品説明の訴求力が不足している → 商品の魅力を効果的に伝えるのに有効なFABE法則でセールスポイントを再構築する
  • 信頼性が欠如している → 3D認証やお客様レビューを導入する
  • CTAの誘導が弱い → 動的CTAボタンやお客様の行動をうまく誘導できるようなデザイン
  • モバイル端末での対応が不十分である → スマホでの指操作をスムーズにする
  • お客様視線の誘導が乱れている → アイトラッキングテストで効果を検証する
  • 価値提案があいまいである → 独自のセールスポイントを伝える
  • 購買の緊迫感を高める仕組みが不足している → 在庫アラートシステムを導入する
  • カスタマーサポートの窓口が見つけにくい → 購入プロセス全体にチャットサポートを導入する
  • お客様の行動データの活用が不十分である → 行動データに基づいて施策を行う

終わりに

まずはCTA改善など短期間で効果が見込める施策から始め、段階的にコンバージョン改善の全体設計を構築していきましょう。CVR低下の原因は一見すると小さなことでも、積み重なると大きな機会損失につながってしまうことがあります。

今回と前回でご紹介した10のチェックポイントを参考に、ぜひ自社サイトの状態を定期的に見直してみてください。さらに、Ptengineのようにお客様の行動データを記録・可視化できるツールを使えば、勘や経験だけに頼らず、実際のお客様の行動に基づいて改善を進めることができます。着実にCVRを高めるための心強い味方になってくれるでしょう。

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