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D2Cブランドはどう広告を打つべきか?成長ブランドに学ぶ“勝てる広告戦略”の作り方

2025年06月16日

この記事は約8分で読めます。


はじめに

コロナ禍を経て、インターネットがより重視される社会になりD2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルのハードルが下がりました。

これらのブランドは、Amazonや楽天といったモール型のECプラットフォームに依存せず、自社のECサイトやSNSを通じて直接消費者とつながり、販売・コミュニケーション・ロイヤリティ構築までを一貫して行っています。

D2Cモデルでは、消費者と直接つながるため、広告の使い方がとても重要になります。

なぜなら、【広告に目を留める→ブランド/商品の認知→購買→最終的なファン化】といったざっくりとした一連の流れを、自社で内製化するケースが比較的多いからです。

本記事では、成長を遂げているD2Cブランドの広告運用事例をもとに「どのチャネルに、どのような広告を出すべきか?」という実践的な戦略をご紹介いたします。

D2Cにおける広告の役割とは

D2Cブランドにとって、広告は単なる集客のための手段ではなく、ブランディングの手段とも言われます。しかし、スタートアップのビジネスや立ち上げ期のブランドにとっては、集客や認知の獲得こそが生命線ともいえます。

そもそも誰にも知られていなければ、どれだけ良い商品や理念があっても選ばれることはありません。

だからこそまず重要になるのが、「どんな価値を、どんな人に届けたいのか?」というブランドの軸をはっきりさせオーディエンスを明確化することです。そして、その価値を必要としているであろうターゲット層に向けて広告を設計し、接点をつくっていきます。

ターゲティングはトライアンドエラーの繰り返し

しかし、ブランドの価値を最初に建てたターゲティングが必ずしも正しいというわけではありません。もちろん、初期の想定にズレが生じていることも加味して、綿密なリサーチとトライアンドエラーのプロセスが不可欠です。

SNS広告や検索広告などで小さくテストを繰り返しながら、実際にどんなユーザーが反応してくれるのかを観察・分析し、少しずつ精度を高めていくことが重要です。D2Cの広告運用とは、まさに「届けたい人を見つけ、深く理解し、最適なかたちで伝える」ための継続的な試行錯誤のプロセスなのです。

成長D2Cブランドの広告戦略 ― 成功事例

BULK HOMME:UGCと高速PDCAで成果を最大化したInstagram広告戦略

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リアルなUGC活用でCTR・CVRが大幅改善

BULK HOMMEは、20〜30代男性をターゲットとしたスキンケアブランドとして、従来のリスティング広告やアフィリエイト施策に加え、Instagram広告を新たな顧客獲得チャネルとして戦略的に活用しました。

インスタグラム広告の成功鍵となったのは、プロが制作した洗練された広告ではなく、実際のユーザーが投稿したUGC(User Generated Contents)をそのまま広告に活用する戦略でした。

これにより、視聴者にとって広告が「自分ごと化」され、リアルで信頼性のある体験として認識されるようになり、CTRやCVRが大幅に改善しました。結果として、Instagram経由の獲得件数は1年で約10倍、CPA(顧客獲得単価)は約3分の1に削減することができました。

世界観の統一と高速PDCAで顧客獲得を最大化

BULK HOMME インスタグラムより

広告と同様に、リンク先のランディングページもUGCを活用し、SNSと一貫したトーン&マナーの世界観を構築することで、ユーザー体験全体の統一感を高め、CVRをさらに向上させました。

また、Instagram広告の導入に際し、変化の速いSNS環境に対応するために、複数のクリエイティブパターンを用意し、1〜2週間ごとに差し替えるスピーディーなPDCAサイクルを確立。広告効果の高い“勝ちクリエイティブ”を見つけ、そのパターンを水平展開して成果を最大化に繋げました。

このようにバルクオムは、「リアル感」と「スピード感」を兼ね備えたInstagram広告戦略により、効率的かつ効果的な顧客獲得を実現している。

Fabric Tokyo:「共感 × 体験 × パーソナライズ」で心を動かす広告戦略

FABRIC TOKYO 公式ウェブサイトより

「高すぎる・面倒くさい」悩みに応える広告メッセージ設計

FABRIC TOKYOは、「サイズが合わない」「スーツ選びが面倒」「自分に合った一着が見つからない」といったビジネスパーソンの悩みを出発点に、D2Cモデルを通じた革新的なアプローチを展開しています。

まず、顧客の課題を解決する手段として「オーダーメイド×テクノロジー×EC」の仕組みを確立。初回に店舗で採寸すれば、以後はスマホやPCから自分専用のスーツをいつでも簡単に注文できる体験を提供しました。

チャネルごとの役割を最適化したクロスチャネル戦略

FABRIC TOKYO 公式インスタグラムより

このサービスの魅力を広く伝えるために、FABRIC TOKYOは多様な広告チャネルを活用しています。InstagramやFacebookなどのSNSでは、シンプルかつ洗練された商品画像や、実際のユーザーの着用シーン、ブランドの世界観を表現した投稿を通じて、共感を生み出しています。

加えて、Web広告では、自社サイトでオーダーメイドの流れやサイズ調整無料などのサポート体制をわかりやすく解説し、初めての利用でも安心感を与える構成になっています。また、店舗広告では実際に商品を手に取って試着できる体験を提供し、オフラインでの信頼構築も行っています。

「Fit Your Life」で共感を生むブランドメッセージ訴求

広告内容の中心は、「デザイン性」「素材」「着心地」といった商品の魅力に加え、「あなたの体型・ライフスタイルにフィットする」というオーダーメイドの価値。ブランドメッセージである「Fit Your Life」を軸に、単なる洋服ではなく“自分らしい生き方を支える装い”として訴求しています。

こうした広告・発信が20〜40代のビジネスパーソンに刺さり、初回購入だけでなく、サイズが記録されていることによるリピート購入にも自然につながっています。

BASE FOOD 完全食:LINE広告活用でサブスク急成長を実現

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LINE広告で3万人獲得!30〜40代女性に刺さるターゲティング戦略

完全栄養食「BASE FOOD」を展開するフードブランド、ベースフード株式会社は、主力商品の「BASE BREAD」のサブスクリプション会員獲得を目的に、2020年12月よりLINE広告を導入しました。その結果、LINE広告を通じて累計3万人の新規顧客を獲得することに成功しました。

BASE BREADはお子様からお年寄りまで幅広い世代に親しまれていますが、サブスクリプション会員の新規獲得というKPIを達成するためには、最も成果が見込める層を明確にし、的確いアプローチすることが重要でした。

SNSの広告は若年層ユーザーが中心で、完全栄養食の価値に共感されにくいという課題もあったため、健康やダイエットへの関心が高い30~40代女性を主要ターゲットに設定しました。そして、ターゲットが1番多い頻度で使うLINEをメインに広告を回しています。

配信手法とクリエイティブ:動画×静止画×パッケージ訴求

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LINE広告では、「オーディエンスセグメント配信」「類似配信」「オーディエンス配信」の3種類の広告を配信しました。

それぞれの配信に応じて、自動入札と手動入札を使い分けています。オーディエンスセグメント配信と類似配信では自動入札を使用することで売り上げを最大化しており、オーディエンス配信においては確実に獲得が見込めるよう手動入札で運用しています。

クリエイティブ:動画×静止画で最適訴求!フェーズ別に響くクリエイティブ戦略

クリエイティブ面では、ブランドの世界観に沿った月30本ほどの動画広告を制作。特にオーディエンスセグメント配信では、商品の認知から購買促進まで一貫して行える動画を採用し、BASE BREADの魅力を視覚的に訴求しました。一方で、すでに商品をある程度知っている層には静止画クリエイティブを用い、購入への後押しを狙いました。

広告には、実店舗にも並ぶパッケージデザインを活かしたビジュアルを使用し、ユーザーの記憶に残る設計を意識しました。

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VIVAIA:ユーザーの声を起点にした広告とOMO施策で成長するレディースシューズブランド

D2Cブランドの成功事例:VIVAIAが実践する「ユーザー中心」広告戦略

エコでサステナブル、そして女性の毎日に寄り添うレディースシューズブランドVIVAIAは、SNS広告を中心に成長を遂げたD2Cブランドの代表例です。特にmeta(Instagram・Facebook)を主軸とした広告展開で、多くの顧客に支持されています。

ユーザーの声から始まるプロダクト&マーケティング

VIVAIAの広告より

VIVAIAの最大の強みは、「ユーザーの悩み」への深い共感です。実際の購入者の声やアンケート、レビューから「サイズが合わない」「長時間歩くと疲れる」「環境に配慮した商品が欲しい」といった悩みを洗い出し、それを広告や商品開発に即座に反映。

このように、広告=セールスのための発信ではなく、ユーザーとの対話の一環として捉えている点がVIVAIAの特徴です。

Instagram広告 × UGCの活用

ユーザーの悩みを理解したら、特に力を入れたのがUGCコンテンツとインフルエンサーマーケティングの組み合わせです。

実際の愛用者のリアルな投稿やレビュー動画を広告に活用することで、信頼性と共感を生み出し、ブランドの“共感力”を高めています。

広告では、モデルではなく一般ユーザーが登場し、「実際に履いてみてどうだったか?」というリアルなフィードバックをそのまま反映しています。これが結果的にCVR(コンバージョン率)向上にもつながっています。

オンラインとオフラインをつなぐOMO施策

D2Cでありながら、VIVAIAは実店舗も展開し始めています。このオフライン展開には、OMO(Online Merges with Offline)戦略が根底にあります。

たとえば、オンラインではわかりづらい「サイズ感」や「履き心地」を店舗で体験してもらうことで、顧客の不安を解消。店舗でのフィードバックは再び商品開発、オンライン広告に活用され、好循環が生まれています。

終わりに

D2Cブランドの成長において、広告は単なる集客手段を超え、ブランドの価値を直接消費者に伝え、ファンを育てる重要な役割を担っています。

今回ご紹介した事例から学べるのは、「ターゲットに響くリアルなメッセージ」「継続的なテストと改善」「複数チャネルを使った統合的なアプローチ」が広告成功の鍵だということです。

特に、ユーザーの声や体験を広告に反映させるUGCの活用や、SNSを中心としたスピーディーなPDCAサイクル、さらにはOMO施策は、D2Cブランドが消費者との強固な関係を築き、長期的に成長し続けるために欠かせない戦略と言えます。

これからD2Cブランドを立ち上げる方や、広告戦略を見直したい方は、ぜひ今回の成功事例を参考に、「自社の価値を最も必要とする人に、最適な形で届ける」広告づくりに取り組んでみてください。

参考文献

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