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EC閑散期を成長期に変える戦略:安易な安売りに頼らず、CVRと利益を改善する実践論

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Keikei Kou

カスタマーサクセス

2026年01月08日

この記事は約9分で読めます。

「年末年始商戦が終わったら、売上が急に落ち込んだ」
多くのEC担当者が、毎年1〜2月にこの課題に直面します。

年末に築き上げた受注の山が、年明けと共に静かな平野へと変わっていく様子に、不安を覚える方も少なくないでしょう。 また、広告のCPA(顧客獲得単価)は悪化し、CVR(購入率)も「ここまで下がるのか」と驚くほど低下しがちな時期でもあります。 
それは、いわゆる「EC閑散期」であり、年末年始の消費の盛り上がりの後での自然現象です。
そこで本記事では、この時期を乗り切るための戦略的な打ち手をご紹介します。

目次

なぜ1〜2月は売上が落ち込むのか?消費の「反動」を理解する

年末年始は、消費者にとって「支出する理由」が集中する期間です。
クリスマスプレゼント、年末年始の帰省土産、お正月のご馳走など、「特別な出費」「イベントの高揚感」が重なり、消費者の購買意欲はピークに達しますね。また、「今買わなければ」という切迫感も生まれやすく、高単価の商品も売りやすいのが特徴です。

一方で、年末年始に支出がかさんだ分、年明けには節約志向が強まる傾向にあります。そのため、「年末の大きな買い物は済ませた。次は春の新生活シーズンまで様子を見よう」という空気が市場全体に広がります。

そして、広告視点では、大手企業の予算縮小に伴い、CPM(インプレッション単価)やCPA(顧客獲得単価)が一時的に低下する好機にも見えます。しかし、それ以上に消費者の購買意欲が落ち着くスピードの方が速いため、広告出稿量を増やすだけでは売上を伸ばしにくい、というジレンマが生じます。

だからこそECの閑散期には、LTV(顧客生涯価値)向上を見据えたリピート施策と、既存トラフィックのCVRを最大化するサイト改善という、二つのアプローチが事業成長の鍵を握るのです。

余剰在庫問題と、安易な「全品割引」という罠

まず、多くのEC担当者を悩ませる在庫問題と、その対策から見ていきましょう。

年末商戦で強気に仕入れた商品が倉庫に残っていると、キャッシュフローを圧迫する余剰在庫と化す可能性があります。特に季節商品は、「一日でも早く売り切りたい」という焦りから、「冬物最終クリアランス 全品50%OFF」といったバナーを掲げがちです。

しかし、顧客の物欲が一段落しているこの閑散期に、過度な値引きを続けると、以下のような事態を招きかねません。

  • ブランド価値の低下:「売れ残り感」が生まれ、ブランドの勢いが失われている印象を与えかねません。
  • 価格信頼性への影響:年末に定価や小幅な割引で購入した優良顧客ほど、不信感や失望感を抱きやすくなります。
  • 収益性の悪化と顧客層の変化:「セール時だけ購入する顧客」が増加し、プロパー価格での販売が困難になる可能性があります。

だからこそ目指すべきは、「ブランド価値を守りながら在庫を最適化し、健全なキャッシュフローを確保する」という、戦略的なアプローチです

EC閑散期を乗り切る5つの打ち手

打ち手1:価格訴求から価値訴求へ、新たな購入理由を創出

1) 低単価商材:「福袋」企画(お得感とエンゲージメントを両立)
値引率を直接訴求せずとも、「お得感」と「発見の楽しさ」を提供できる有効な手法です。

  • セット構成例:人気商品(目玉)1点+関連性の高い余剰在庫2点
  • 価格設定の目安:通常合計価格の4〜5割引相当の価値を提供し、高い満足度を狙う。
  • 訴求のコツ:「中身は完全おまかせ」という不安を払拭するため、「必ず入る目玉商品」を明記すると、購入のハードルが下がる。
  • 企画のコツ:「閲覧数は多いが、カート投入率が低い商品」を目玉に据えると、潜在的な需要を掘り起こしやすい。

💡Ptengine活用例|福袋の目玉商品をデータで選定

  • ヒートマップ分析で「閲覧されているが、購入に至らない」商品を特定。その商品を“必ず入る目玉”とすることで、顧客の期待感と安心感を両立させます。
  • クリック分析で、商品一覧ページでのユーザー行動を可視化。「感覚」ではなく「実績データ」に基づいた、確度の高い目玉選定が可能になります。

2) 高単価商材:「訳あり品」の特別販売による限定感と納得感の両立
家具や宝飾品などの高単価商材では、「サプライズ」よりも「納得感」が購買を後押しします。

  • 新品のプロパー価格を維持しつつ、「展示品」「撮影サンプル」「外装不良品」といった理由のある在庫を、特設ページで案内する。
  • 顧客心理:「安いから買う」のではなく、「理由に納得できるから、合理的な選択として購入する」という意思決定を促す。

💡Ptengine活用例|訳あり品ページでの購入体験を改善し、販売へと繋げる

  • 特設ページでアテンションヒートマップを活用し、「状態」「保証」「返品可否」など、顧客が不安に感じる項目が十分に読まれているかを確認。注目度の低い重要項目は、より上部へ配置し直します。
  • 離脱率が高い箇所を特定し、その直前にFAQ詳細な写真を追加することで、顧客の疑問や不安を先回りして解消します。

打ち手2:在庫の売り方を工夫し、「安売り感」を解消

「在庫処分セール」という直接的な表現は、ブランドイメージを損なうリスクを伴います。そこで、表現を少し工夫するだけで、ブランドイメージを守りつつ販売を促進できます

  • 言い換え例1:「今季終売」「生産終了」

    • 季節性のある商品と相性が良い表現です。「春の新作準備に伴い、現行ラインナップの販売を終了します」といったストーリーで、「投げ売り」ではなく、「計画的な切り替え」であることを伝えます。
    • 会員限定ページで案内することで、「特別感」を演出し、顧客ロイヤルティの向上にも繋がります。
  • 言い換え例2:「お得意様への特別ご案内」

    • 高価格帯の商材では、マス向けのセール自体がブランドの稀少性を損ないます。購入回数や金額の多いロイヤル層に限定し、「選ばれたあなたへ」という個別のアプローチが有効です。
    • 文面例:「ショールームの整理に伴い、状態の良いサンプルが数点入荷しました。いつもご愛顧いただいている◯◯様の好みに合うかと存じ、先行してご案内申し上げます。」
  • 言い換え例3:「We Made Too Much(作りすぎてしまいました)」

    • 「売れ残り」ではなく「想定を上回る人気で、増産した分が少しだけ余剰となってしまった」というストーリーテリング。
    • 「商品が悪い」のではなく「計画がポジティブすぎた」という正直な姿勢が、閑散期の落ち着いた市場の空気感とマッチし、共感を呼びます。

打ち手3:閑散期こそサイト改善の好機、ABテストでUI/UXを見直す

年末年始の繁忙期は、限定バナーやポップアップが乱立し、サイトが情報過多に陥りがちです。そのため、EC閑散期は、乱雑になったサイトをリセットし、UI/UXを再点検する絶好の機会と言えます。
例えば:

  • データに基づき、クリックされていないバナーを整理/削除
  • 商品ページでは、「サイズ」「配送」「返品ポリシー」など、顧客が不安に感じやすい情報が一目で分かるように、ページ構成を最適化
  • トップページから購入完了までのクリック数を最小化し、顧客の意思決定を妨げないスムーズな導線を再設計

💡Ptengine活用例|サイトの“ボトルネック”をデータで特定と改善

  • ヒートマップ分析で、ファーストビューでの離脱率や、送料・納期といった重要情報への注目度を定量的に評価します。
  • 各ページのアクセスデータに基づいて、ユーザーが「どこで迷い、どのページ間を往復し、どこで離脱したか」という一連の行動を再現。会議での主観的な議論ではなく、顧客の実際の行動に基づいて、改善すべき箇所をピンポイントで特定できます。

打ち手4:訴求軸を「モノ」から「コト」へ、「新生活への期待」を刺激

年始は「今年こそ、暮らしを整えたい」「新しい自分になりたい」といった、自己投資や生活改善への意欲が高まる時期です。そのため、機能的な商品説明よりも、顧客の生活がどう豊かになるかという「コト」の訴求が心に響きます。
例えば、商品ごとに以下のような価値を提案できます。

  • 収納用品:乱雑な日常をリセットし、整然とした暮らしを始める第一歩。
  • 高機能チェア:自身の生産性と健康への戦略的投資。
  • インテリア:新生活や心機一転のための、自己表現としての空間づくり。

特に、高単価商材ほど、「買って終わり」の取引ではなく、「購入後の未来がどう向上するか」という価値提案が、顧客の納得感を引き出します。

💡Ptengine活用例|“刺さるコピー”をデータで発見と横展開

  • 商品ページのアテンションヒートマップで、どの見出しや説明文が熟読されているかを分析。「生活シーン」を訴求したコピーの反応が良ければ、その要素をページ上部へ移動させ、さらに洗練させます。
  • 高いエンゲージメントを獲得したコピーや表現は、トップページや広告クリエイティブにも横展開し、ブランドメッセージの一貫性を強化します。

打ち手5:アフターサービスを最適化し、返品率を抑える

1月後半から2月まで、売上の低下だけでなく、年末年始に購入された商品の返品・交換が集中する時期でもあります。実は、顧客が返品ボタンを押す前のちょっとした工夫で、不要な返品を防げる場合があります。

1) 返金以外の選択肢を提示

返品申請ページで、顧客にとってメリットのある選択肢を用意します。

  • 選択1:返品&返金
    返品して頂いた上で、購入金額をそのまま返金
  • 選択2:返品なし&ポイント付与
    商品をそのままご利用いただき、代わりにお詫びのポイントを付与

このように、強制的に引き止めるのではなく、顧客が自ら「使えるポイントの方が便利かつお得だ」と判断するような、自然な導線を設計します。

2) 高単価商材は「交換」への導線を強化

マットレスや家具など、返品・再梱包のコストが高い商品は、返品前のコミュニケーションが鍵となります。

  • 返品申請ページに、チャットや電話相談への導線を設置。
  • 顧客の不満(例:「硬すぎた」)に対し、よりフィットする代替商品を提案。
  • 交換時の送料を一部負担するなど、交換のハードルを下げる。

この施策は、単に返品を防ぐだけでなく、LTVの観点からも「顧客との関係を維持し、最適な商品を提供する」という重要な意味を持ちます。

💡Ptengine活用例|ページ導線の改善やアンケートにより、アフターサービスの向上

  • 返品・交換案内ページが「読まれていない」「途中で離脱されている」といった事実をデータで把握。テキスト量、見出し、問い合わせ導線を改善し、顧客の自己解決を促します。
  • 返品フォームに到達する前に、「よくある返品理由(サイズ違い、色・イメージ違いなど)」に対する解決策(サイズガイド、詳細なカラーチャートなど)を提示することで、不要な返品申請そのものを削減します。

まとめ:需要が落ち着く時期に、「整える」ことで差がつく

年末年始が「買う理由」の重なりで需要が最大化する特別な時期である以上、1〜2月に売上が落ち着くのは自然な流れであり、この時期は「EC閑散期」とも呼ばれます。
この時期に重要なのは、焦って安売りに走ることではありません。この閑散期における地道な「整え」こそが、春以降の力強い成長の土台を築くのです。
Ptengine長年のサポート経験から、サイトを「整える」上では、下記の4点がポイントになると言えます。

  • ブランド価値を守る:値引きは抑制的に行い、表現を工夫
  • 在庫を解消:福袋、限定販売、訳あり品販売などで、新たな購入理由を創出
  • サイト改善:CVRが低いページのUI/UXを改善し、ABテストで「勝ちパターン」を検証
  • 顧客体験を向上:返品・交換導線を最適化し、返品率を抑える

以下のチェックリストを参照し、今日からアクションを検討しましょう。

🔍EC閑散期対策リスト

商品特性に合わせて販売戦略を使い分ける
低単価の余剰在庫は「福袋」に、高単価のものは「訳あり品」 など、特性に合わせた計画を立てる

主力商品の値引きを避け、購入特典を活用
余剰在庫を「購入特典」として提供し、顧客満足度を高めつつ、主力商品のブランド価値と利益率を守る

サイトのUI/UXを整理する
年末年始に設置した一時的なバナーや導線を整理し、サイトの情報を分かりやすくすることで、顧客が購入しやすい環境を整える

ABテストで「勝ちパターン」を見つける
特集ページやLPでABテストを実施。ターゲット別にCVR向上に効果的な文言や構成を見極め、データに基づいた改善を重ねて繁忙期に備える。

返品・交換フローを見直し、顧客体験とLTVの向上に繋げる
返金以外の選択肢を提示したり、交換への案内を強化したりして、返品率を最小限に抑える。

💡新規でPtengineをご利用の方へ
まだPtengineをお使いでない場合は、まず無料でPtengineを登録し、あなたのECサイトで「どんな打ち手を活かすか」を確認してみましょう。

既にPtengineをご利用の方へ
Ptengineを起動し、「どの機能を活用すれば、より深い分析につながるか」ぜひ実践してみてください。

 

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