blog»ブランド・マーケティング»【前編】SNS広告の効果を最大化するA/Bテスト入門|クリエイティブ改善の3つのポイントとは?
2025年07月24日
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SNS広告を運用していると、「とりあえず配信して様子を見る」「CTRが出ているからこのクリエイティブでいこう」といった“出しっぱなし運用”になっていないでしょうか?
確かに、広告を出すこと自体はスタートラインですが、本当の成果は改善を繰り返した先にあります。クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)といった数字は、出してみなければ見えてこない。でも、出したあとに“何を見て、どう改善するか”で広告の成果は大きく変わります。
SNS広告では、広告クリエイティブだけでなく、遷移先となるLP(ランディングページ)もセットで最適化することが不可欠です。そのために、A/Bテストなどの検証手法を活用し、両者を継続的に改善していくことが成果につながります。
そこで今回は、前編・後編の2本立てでお届けします。
前編では「SNS広告のクリエイティブ改善」、後編では「遷移先LPのA/Bテスト」について、それぞれ解説していきます。
本記事(前編)では、SNS広告の効果を最大化するために欠かせない、A/Bテストの基本的な進め方と、特に注目すべき3つのポイントについて詳しくご紹介します。
A/Bテストに取り組む前に、必ず確認しておきたいのが「目的」と「評価指標(KPI)」です。
目的はCTRを改善することなのか、それともCVRをアップさせることなのかを明確にしましょう。なぜなら、目的が曖昧だと改善しても意味がなくなってしまうからです。
SNS広告におけるKPIの整理(CTR,CVR,CPC)をすることで改善の方向性を掴むことができます。
たとえば、「SNS広告のCPAが想定より高く、月間CV数も目標に届いていない。この状況を改善するためにクリエイティブを見直す」といったように、現状の課題→目指す数値目標→改善のための手段としてのA/Bテストという構造で考えるのが基本です。
加えて重要なのが、「誰に、何をしてほしいのか」というゴールの再確認です。
A/Bテストでは、以下のような視点で設定するとスムーズです。
このときにおすすめなのが、「ペルソナ」の設定です。
ペルソナとは、サービスにとって象徴的な理想の顧客像を“架空の人物”として具体的に描くマーケティング手法です。
たとえば、
というようなペルソナを設定すれば、「どんな情報が刺さるのか」「どのトーンが自然か」「どんなCTAが響きやすいか」といった判断がしやすくなります。
ペルソナを設定することで、チームでの共通認識、ユーザー目線で仮説を立てやすくなるため結果的に意思決定が早くなり効率的にA/Bテストを進めることができます。
SNS広告における最重要ポイントがクリエイティブです。SNS広告は読ませるより「見させる」という感覚が大切で、パッと目にとまるようなクリウィティブを作ることでCTRを上げることに繋げるかもしれません。
動画や静止画、物撮りや着用画など、一つの商品でも見え方が多様にあります。
特にSNSの広告は日常の一部として流れてくるため「また広告か」と流されてしまうことが多いです。そのため広告のぱっと見の第一印象がもっとも重要になってきます。
動画広告ならば、イントロのフックの部分を目に引くようなものにすることや、画像広告ならば、色や人などを工夫してとにかく目を引くものを作成することが重要です。
一つの商品を販売する際には、さまざまな訴求軸が存在します。 たとえば、靴一足を例にとっても、「軽さ」「快適さ」「歩きやすさ」「幅広向け」といった複数のポイントが考えられます。
そのため、商品のアピールポイントをしっかり押さえたうえで、異なる角度からコピーを試すことが非常に重要です。 こうした多様なコピーをA/Bテストで検証し続けることで、顧客が本当に求めている価値を理解するための第一歩となります。
Meta広告(Instagram / Facebook)などのSNS広告では、自動最適化機能(AIによる配信最適化)があります。これは非常に便利な機能である一方、A/Bテストの精度を下げてしまう可能性があります。
Meta広告の「Advantage+キャンペーン予算(ACB)」のような機能では、広告セット間の予算配分も自動化されます。
この予算自動配分は広告セットが多い場合や各広告セットのターゲット規模やCPA目標が似ているなら効果が期待できることもあります。しかし、特定の広告セットをテストしたい、あるいは小規模でも重要なオーディエンスに予算を確実に届けたい場合には不向きです。
そのため、テスト段階や、各広告セットの役割が明確に異なる場合は、手間でも広告セットごとの予算設定(ASB)がベターな傾向にあります。
詳細ターゲティング機能ではオーディエンスの選定が自動化されるという機能です。
この機能は思わぬ優良顧客層を発見できるという可能性もありますが、AIが学習するための母数が少ないと最適化がうまく機能しないこともありえます。
この機能は実際に誰に広告が当たっているのかブラックボックス化しやすいの難点です。
したがってニッチな商材や厳密なターゲティングが求められる商品やサービスはあまりオーディエンスの自動化は向いていないかもしれません。
そのため、自動化に100%依存するのではなく、コアオーディエンスや類似オーディエンスと比較テストすると安心です。
Ptmindが日本史上展開の運営及び支援を行なっている、アパレル&シューズブランド「HAPPY NOCNOC(ハッピーノックノック)」のABテスト上での事例についてご紹介します。
「学校もおでかけもこの一足で楽しめる」という訴求コピーに対して、2種類のテンプレートを用意し、A/Bテストを実施しました。
その結果、左側のカラーバリエーションが豊富なデザインの方が、より高いパフォーマンスを発揮することが明らかになりました。
特に、左側の水色の縁取りに紫の文字色の組み合わせは、右側のグレー背景×グレーフォントと比べて、視認性や第一印象のインパクトにおいて大きな差が出たと考えられます。
このテストでは、クリウィティブのデザインは全く同じで、コピー(訴求メッセージ)のみを変更した2パターンで検証を行いました。
このようにコピーを変えることで、ユーザーが本当に求めている価値を明確に把握することができます。
テストの結果、
「動きやすさもおしゃれも楽しみたい」よりも、
「足の成長をサポート」というコピーの方が、圧倒的にパフォーマンスが高いことが分かりました。
このことから、“動きやすさやおしゃれをコスパよく試したい”という層よりも、
“お子さまの足の健康を気にしている保護者層”に向けた訴求が、より刺さると考えられます。
今後は、健康志向・成長サポートという観点に寄せたメッセージ設計を重視していくことが重要です。
SNS広告は、出して終わりではなく、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返していくことが成果につながる鍵です。
A/Bテストは、その改善のヒントを見つけ出すための重要なプロセス。
「どのビジュアルが刺さるのか?」「どんなコピーが行動を後押しするのか?」といった気づきを積み重ねることで、広告の精度は格段に上がっていきます。
本記事ではSNS広告におけるA/Bテストの考え方から、クリエイティブ改善のポイント、そして実際の事例までをご紹介しました。
後編では、LP(ランディングページ)側でのA/Bテスト設計と改善ポイントについて解説していきます。
広告から遷移した先での体験も含めて最適化していくことで、より高い成果へとつなげていきましょう。
次回もぜひご覧ください。